世界遺産「クルシュー砂州」

リトアニア西海岸観光のススメ

リトアニア西部のバルト海沿いにある砂の丘「クルシュー砂州」は全長は98km(リトアニア圏52km、カリーニングラード圏46km)の砂州として2000年にユネスコの世界遺産に登録されました。リトアニア語ではクルシュ・ネリヤ(Kuršių nerija)、英語ではクロニアン・スピット(Curonian Spit)と呼ばれています。

おそらくリトアニア観光を検討する方なら候補地に挙がるはずですが、何しろアクセスが悪いのでこれだけのために行くのは現実的ではなくなってしまうのではないでしょうか。

リトアニア第3の都市クライペダを訪れる方はすぐ隣町の海岸なのでぜひ訪れてほしいところですが、リトアニア西海岸の一番端にあるので時間に余裕がないと訪れるのは難しいかもしれません。リトアニアに数日滞在予定の方や観光地「十字架の丘」を目指す方にはぜひ足を伸ばしてほしい観光スポットです。

今回は世界遺産「クルシュー砂州」の旅を実現するためのプランをご紹介します。

リトアニア西端の町「ニダ」まで行こう

リトアニア第3の都市である港町のクライペダから船でネリンガという町に渡った先にあるクルシュー砂州。クライペダで港町を楽しむのも良いですが、より自然の中での滞在を体験したい人にはさらに先に進みロシア飛地のカリーニングラードとの国境近くにあるニダという町で滞在するプランがオススメです。

漁港というだけあって栄えている印象のクライペダには個性的な彫刻が街中にたくさんあったり、琥珀を取り扱ったお店も多く観光としては十分楽しめると思います。でもわざわざリトアニアまで来てさらに首都を離れたなら他では体験できない大自然を満喫する旅がオススメです。


バルト海で海水浴

ニダの町はホスピタリティの整ったいわゆる"ザ・ホテル"のようなところはありませんが、バルト海に沈む夕陽を見たりビーチを散歩したり海水浴をしたり、鳥の声と波の音がBGMの大自然を体験できます。少し離れたところにはヌードビーチの案内板もありました。踏めば"キュッキュッ"と音が鳴る砂と穏やかな海。一番混雑する真夏の週末でもこれくらいなので延び延びできると思います。

世界遺産を一望できるサンセットクルーズ

ニダの町では船で世界遺産クルシュー砂州を一望しながら沈む夕陽を眺めることができるサンセットクルーズがオススメです。地図上では国境があっても船の上からはその境目はわからないので自然の雄大さを感じることができます。出発前は陽があって暖かくても日没後に気温がグッと落ちることもあるので、思ったより暖かくして行った方が良いでしょう。

大自然を体感できる「死」の散策コース

"The Dead Dunes"(死の砂丘)あるいは"The Grey Dunes"(灰色の砂丘)と呼ばれる散策コースは、ネリンガとニダの間に位置しています。頂上ではバルト海を一望できる素晴らしい眺めが待っていますが、入り口から丘の頂上まで日陰のない砂漠の登り坂。結構な距離をただただ歩くような感じなので夏の暑い日に行く場合は帽子や水分の準備は大事になるでしょう。

入り口の案内板にちょっとした歴史が書かれていました。

「死の砂丘」は強風、砂、草や植物、森林土壌によって形成された峡谷です。300年以上前、ここには"Nagliai"(ナグレイ)と呼ばれる町がありました。強風と砂嵐から避難するため何度も移住を繰り返してこの場所へたどり着きました。砂丘の砂は一年で0.5〜5m移動すると言われていて長い年月が経った後またしても移動を余儀なくされ人々は現在の"Nida"(ニダ)の町へと移り住みました。

この砂漠のような「死の砂丘」でも元々は人が住んでいた地域だと知ると自然の猛威に驚かされます。

死の砂丘はニダから少し移動が必要になるので、余裕がない人にはニダの南側にある"Vallery of Death"(死の谷)と呼ばれる盆地が広がり映画に出てきそうな景色を楽しむこともできるのでそちらもオススメです。 

不気味な魔女の彫刻

またリトアニアには主に西側の地方で語られる魔女の伝説が多くクルシュー砂州のあるネリンガの町にも"The Hill of Witches"(魔女の丘)と呼ばれる散策コースが存在します。不気味な悪魔や魔女あるいはペイガン(キリスト教以前の自然や生物を対象とする信仰)をモチーフにしたヘビや太陽などの彫刻が点在する森の散策コースです。「死の砂丘」同様に少しアクセスに苦労するかもしれませんが「十字架の丘」や民族文化の不気味な側面に興味を持つ方やにはオススメです。

*クルシュー砂州はこうして生まれた!「女巨人ネリネガ」の伝説
*リトアニア西部「シャトリヤの丘」に集う魔女の言い伝え

お土産はバルティックアンバー(琥珀)で決まり

リトアニアの特産品として知られる琥珀の全てはこのバルト海で採集された「バルティックアンバー」です。もちろんニダの町でも琥珀がたくさん販売されているのでお土産に最適です。おそらく首都ヴィリニュスなどの都心部で購入するより良い値段で手に入るはずですよ。稀に偽物をしれっと販売しているケースがあるので良い意味で疑いの目を持つようにしましょう。(よく分からない場合はお客さんがよく集まってるお店がオススメです。)

もしニダ観光が悪天候に見舞われても琥珀を見つけるチャンスがあるかもしれません。バルト海では海が荒れた日の翌朝は琥珀がよくと言われていて琥珀を拾いにくる現地の人が多いそうです。早朝に海岸で潮干狩りみたいなことをしている人がいたら琥珀が採れる日かもしれません。

天気の良い日の昼でもビーチで遊んでいた時に一粒見つけることができました。

クルシュー砂州&ニダ観光まとめ

というわけでリトアニア観光で西海岸のクライペダ・ネリンガ・ニダ方面を訪れるなら、

  • 海岸の町「ニダ」に滞在
  • 「バルト海」のビーチを散歩
  • 世界遺産クルシュー砂州を一望できる「サンセットクルーズ」
  • 「死の丘」もしくは「死の谷」の砂漠散策コース
  • 「魔女の丘」で不気味彫刻を巡る散策コース
  • お土産は「琥珀」
  • 悪天候時の日の出頃に海岸で「琥珀狩り」

この辺りからプランを組んでみてはいかがでしょうか?

2024年2月3日
by hshmtyshk