ハロウィンはなぜお化けなのか?

ハロウィーンとオバケ

皆さんはなぜハロウィンにお化けのイメージがあるか不思議に思ったことはないでしょうか?今では10月31日は仮装イベントとして世界中で楽しまれる日となりましたが、実はそのルーツは翌日である11月1日にあったのです。

11月1日は"All Saints' Day"(諸聖人の日)と呼ばれ、リトアニアだけでなく多くのキリスト教国家で祝日と位置付けられています。今回の記事では"All Saints' Day"(諸聖人の日)に関するリトアニアの記事を通してハロウィーンのルーツについて解説していきたいと思います。

 

 

日本のお盆に近い「諸聖人の日」

諸聖人の日(オールセインツ・デイ)である11月1日はリトアニアのカレンダーでも不思議な迷信に包まれる24時間です。この世を去った家族や友人を訪れるためお墓参りをする人々の列が昼夜を問わず続きます。リトアニア中の墓地でロウソクの灯がおぼろげにゆらめくこの日は、追悼、親交、心を映す日だと言えるでしょう。

それはまた冬の訪れを知らせる日でもあります。冷たく張り詰めた空気を吹き抜ける風が音を立てて舞わせる雪。この奇妙な夜が運ぶ雪は私たちを墓地から墓地へと導いていくのです。

諸聖人の日は親戚や遠くへ越した仲間が地元へ集まる集いの日でもあります。ロウソクの火を灯し、祈りを捧げ、雪の中を歩いて墓地を巡った後は紅茶とおしゃべりの時間です。

 

魂を迎え入れる古い慣習

リトアニアでの諸聖人の日はむしろ手の込んだイベントの一日とも言える国の祝日です。リトアニアに古くから伝わる伝統としてペイガン(キリスト教布教以前に主流だった自然崇拝などの信仰)の頃から生まれ、時を経て特別な儀式とともに数日から実に数週に渡って祝われるようにまでなりました。

1900年代にはすでにこの日は教会や墓地に魂が降り立つと信じられていて、中には墓の前で宴を行ったり故人の形見を並べたりする家族もいるほどです。家では食事や飲み物でいっぱいのテーブルに人数分以上の食器がセットされ、降り立つ魂を迎える準備がされています。

豪華な食事で故人の魂を招き入れるのは比較的古い伝統と言えるかもしれません。前日からセットされたテーブルは夕食後もそのまま残され、招かれた魂が一晩中宴を続けられるようにするのです。

 

リトアニアが神秘に輝く日

こうした古くからの慣例は時代とともに消えてしまうようになりましたが、信仰の心は残されています。毎年、諸聖人の日にはリトアニア中の墓地が何千ものロウソクの火で瞬き、神秘的に彩られているのです。

 

死者に想いを馳せる日

諸聖人の日の翌日にあたる11月2日は"All Souls' Day"(死者の日)として知られ、特にメキシコでは派手なガイコツが街を彩る大規模な年中行事にもなっています。キリスト教国家にとって11月1〜2日は死者への想いが込められた日が続いているのです。

諸聖人の日は"All Saints' Day"の他にも"Hallow"(神聖視する)という言葉を用いて「All Hallows' Day」(オールハロウズ・デイ)とも呼ばれています。その前日、前夜を指す「Hallows' Eve」「Hallows' Evening」が転じて「Halloween」(ハロウィン)となりました。

ハロウィンが10月31日なのも、オバケで街が賑わうのも納得な訳です。

 

 

by Map Trotting
Photo credit: fugslidy
引用元: "All Saints’ Day, One of the Most Superstitious Days in Lithuania"

 


人気のトピック