世界無形文化遺産の歌と踊り
「リトアニア歌謡と舞踏の祭典」

リトアニア語で「ダイヌ・スベンテ」と呼ばれ、"Dainų"は「歌」を、"Šventė"は「宴」を意味します。世界無形文化遺産に登録される歌と踊りの祭典で、4年に一度開催され2018年は独立100周年のメモリアルイヤーでの開催。
ユネスコ世界無形文化遺産
4年に一度開催される「リトアニア歌謡と舞踏の祭典」はエストニア、ラトビアで開かれる祭典とともに「バルト地方の歌謡・舞踏フェスティバル」(リトアニア語:Dainų švenčių tradicija ir simbolika Estijoje, Latvijoje ir Lietuvoje / 英語:The Baltic Song and Dance Celebrations)として2003年にユネスコ世界無形文化遺産に登録されました。

生命の木をイメージしたエンブレム
イベントのロゴは「生命の木」で、根、王冠の付いた幹、頭頂部の3つから構成。根は「過去・始まり」を表し、力強い幹と王冠は「現在・不屈・繁栄・命」を表し、目標へとまっすぐ進む強さで、頭頂部は輝く太陽とそれに向かって伸びる木が「希望」を表しています。
地面は木の根に栄養を与え命を授け、この地面が「リトアニア」を表し、頭頂部で羽ばたく鳥は幾多の努力と困難を通して自由を勝ち取ったリトアニアの「魂の歌声」。これらが一つになって聖なる歌となり「歌謡の祭典」を形成しているのです。
2万人が歌い9千人が踊るイベント
1つの会場で2万人が歌い9千人が踊り、国中の村や町から集まった方言、民謡、舞踊、芸術、食事、その他様々な伝統が一堂に会するイベント。
主な構成は、民俗や民間伝承などの伝統文化にフォーカスした「フォークロア・デー」、色彩豊かな歌と踊りの民謡演劇「アンサンブル・イブニング」、リトアニアの風習や伝統をプロの振付師による演出の踊りで表現した「ダンス・デー」があり、祭典の最後は数千人の歌手が一つの聖歌隊となる「ソング・デー」で締めくくられます。
2018年は独立100周年記念での開催。国歌から引用された「その名のもとに」(Vardan Tos)というフレーズがタイトルに加えられています。祖国とその歴史そしてそれを築いてきた人々への敬意と真実、正義、道徳を重んじ調和と団結をもって生きるという国歌の意義を再確認しようという思いが込められています。
「祖先にとっての希望であった我々は、未来への希望でもある。」
歌謡の祭典の歴史
世界で最初の歌謡の祭典は1843年スイスのチューリッヒで行われ、バルト三国では1869年にエストニアで、1873年にラトビアで開催されました。リトアニア聖歌隊のデビューは1895年2月17日と記録されていて、リトアニアの「ビルテ」(Birutė)と呼ばれるコミュニティー10周年記念で最初のコンサートを行い、1902年には「歌謡の祭典」(The Song Celebrations)と名前が付くようになりました。
1903年にはサンクトペテルブルクにて最初のリトアニア舞踊「スクティニス」(Suktinis)が披露されその後各地で舞踊が披露されるようになっていきました。最初の歌謡の祭典「ソング・デー」は1924年8月にカウナスで開催され3000人がリトアニア各地から参加し36曲もの楽曲を披露。
1930年の3回目はヴィータウタス・マグヌスの500回忌としてカウナスの野外劇場で行われ、1934年にはカウナスで舞踊専攻のコースが設置されリトアニア国家舞踊が必須科目として入るようになりました。1946年にはその後恒例となるコンペティション形式を採用。
13回目の開催となった1990年開催は「国家の祭典」(National Celebration) と題され、厳しい経済状況の影響で多くの人が参加できずコンペティションは取り消されましたが、のちにフォークロア・デーと称される「ナショナル・イブニング」(National Evening)が初開催されました。
1998年の独立80周年開催、2007年は「命の輪の中で」(In the Circle of Life)、2009年は「世紀の歌」(The Song of the Centuries)、2014年は「ここが我が家」(Here is my home)とそれぞれタイトルが付けられ5万人の観衆を集めるまでになった。
2018年は「その名のもとに」(Vardan Tos)と国歌の一節を引用したタイトルで独立100周年での開催。
法律で守られている伝統的な祭典
リトアニア政府は2000年、このリトアニアの歌謡の祭典を継続し伝統を保存することを議会で決定し2007年に法律となりました。この伝統の保存と発展、イベントが滞りなく運営されるための組織化と責任を、法律を通して保護しています。
2018年4月
Dainų Šventė 2018
引用元:"Dainų Šventė"