ハーブ&スパイス系ミード「メセグリン」スタイル
今回はミードの4つのジャンルの3つ目として「ハーブ&スパイス系」についてご紹介したいと思います。「ミードの4大ジャンルについて」の記事もぜひ呼んだ上でこちらの記事を読んでいただくとより理解が深まると思います。
- オーソドックス系
- フルーツ系
- ハーブ&スパイス系
- 特殊系(その他)
ハーブとスパイスで香り豊かなミード「メセグリン」
フルーツ系のメロメルでは使われるフルーツによってさらに特定のスタイル名が存在しましたが、ハーブとスパイスを使用したものは概ね「メセグリン」のひとくくりが一般的のようです。
ハーブやスパイスも無数に種類がある上に、複数の種類を調合して使うことがほとんどでしょうから細分化しなくて正解だったかもしれませんね。
そんなメセグリンはリトアニア産が国家遺産に指定するミードで採用されているスタイルでもあるので少し詳しくお話ししてみたいと思います。

医学が進歩する前はスパイスが医療だった。今も漢方などにそのルーツを感じますね。
・メセグリン(Metheglin)
ハーブやスパイスで風味付けされたミードのスタイルを総称して「メセグリン」と呼びます。果汁のあるフルーツと異なり香り付けの役割が強く、蜂蜜の甘さを活かしたまま個性を足せるのが長所ではないでしょうか。
メセグリンは元々ケルト文化圏で親しまれていたお酒だったようで、16世紀頃から広く知られるようになりました。
その名称の語源はウェールズ語にあり、「薬の」を意味する”Meddyg”と「お酒」を意味する”Llyn”が合わさり”Meddyglyn”になり、それが英語圏で”Metheglin”と呼ばれるようにななったとされています。
その昔ハーブやスパイスは病気を直す薬のような効果が信じられていて、このメセグリンにも治癒効果があると信じられ薬酒的な位置付けだったそうです。そういった意味でも「薬」を意味するメディスン”Medicine”を語源に持つのも納得のお酒なのです。
最近流行っているジンもその昔は薬として飲まれていた時代がありましたから「ハーブ+お酒=薬」は昔の主流だったようですね。

リトアニアの国家遺産に登録される銘柄もメセグリンスタイルのミード。写真はブルワリー歴代のボトルデザイン。年期が入ってます。
「メセグリン」スタイルのリトアニア産ミードとミード愛飲家だったエリザベス女王を繋ぐエピソードも後日紹介予定です。
・マルドミード(Mulled Mead)
ワインにスパイスを入れて温めるホットワインがありますよね?マルドワインやグリューワインといった呼び名のホットワインを耳にしたことがあるかもしれません。ミードにも同様のスタイルが存在します。日本では「ホットミード」がしっくりくるかもしれませんが海外では「マルドミード」と呼ぶのが一般的だそうです。
マルドワイン同様にオーソドックス(メセグリンでない)スタイルのミードを温めながら後からスパイスで風味付けするスタイルが本来のマルドミードですが、元々ハーブやスパイスで風味付けされているメセグリンを温めて飲むのもマルドミードのスタイルと言えるでしょう。
メセグリンはハーブやスパイスの香りが特徴ですから当然温めても楽しむ「ホットミード」にも最適です。メセグリンが他のミードスタイルと比較して明確に秀でているのは温めて楽しめる点です。蜂蜜の甘さと一緒に広がるハーブの香りが楽しめるのはマルドミードの醍醐味と言えます。
身も心も暖めてくれるスタイルとしてクリスマスシーズンによく飲まれるスタイルです。その辺はマルドワインと同じ位置付けですよね。

写真はリトアニアのお祭りで提供されていたホットワイン(マルドワイン)。こういうワイルドな絵面はなかなか日本ではみられませんね。
・カプシクメル(Capsicumel)
メセグリンの中でも「トウガラシ」を使用したミードは「カプシクメル」という特別な名前が付けられています。
辛い香辛料の成分としてカプサイシンをイメージするので名前の由来はなんとなく見当がつきますよね。
この手の唐辛子はカイエンペッパー、ハバネロ、ハラペーニョなど意外と種類が豊富なので好奇心と味覚に挑戦したい人にはうってつけのスタイルだと思います。ただ、生産者的には辛すぎて売れないものを作っても仕方ないので、このスタイルを目にする機会は少ないかもしれません。
「メセグリン(ハーブ&スパイス系)」まとめ
ということでハーブやスパイスを使ったミード「メセグリン」スタイルについて詳しくご紹介させていただきました。要約すると。。。
・メセグリン(Metheglin)
ハーブやスパイスを使ったミードの総称
・マルドミード(Mulled Mead)
ハーブやスパイスを使ったホットミード
・カプシクメル(Capsicumel)
唐辛子を使ったミード
おわりに
「ハーブ&スパイス系ミード「メセグリン」スタイル」いかがでしたでしょうか?個人的には取り扱っているリトアニアミードがメセグリンスタイルなので最も身近なミードではありますが、他にもさまざまな種類が存在するわけですから試してみたいなと思います。
当店ではリンデン、ジュニパーベリー、ホップなどを使用したメセグリンスタイルのミード「スタクリシュケス(Alc.12%)」や「トラカイ(Alc.15%)」がございますので、興味のある方はそちらもぜひチェックしてみてください。
それではまた。
当店オンラインショップで取り扱っているリトアニア産ミードは主にこの3種類。少し割高ですがAmazonでも買えます。(名前で検索してみてください!)
- スタクリシュケス(Stakliskes)Alc.12% - ジャンル:ハーブ&スパイス系「メセグリン」
- トラカイ(Trakai)Alc.15% - ジャンル:ハーブ&スパイス系「メセグリン」
- ミルダ(Milda)Alc.10% - ジャンル:フルーツ系「メロメル」
[筆者]
橋本佳樹
リトアニア製品の輸入販売を行うスベンテ合同会社代表。社会人時代に音楽業界、芸能業界でのキャリアを経て海外へ留学。現在の妻と出会いリトアニアを知る。帰国後は異業種の輸入業に挑戦するため輸入商社で修行ののち独立し起業。リトアニアのお酒を中心に輸入業を経営しながらリトアニアの情報発信を行なっています。